2018年02月16日

「ざぎが~」  声をか



「ざぎが~」


 声をかけただけというのに、レイトは泣き出した。無意識に彼を泣かせてしまったらしい。

 どうすればよいのかわからず、困り果ててガイアに視線を向けようと 日本樓 按揭 ると、レイトが飛び付いてきた。

 思わず反射的に避けてしまう。鈍い音がして、レイトが床に飛び込んだ。

 レイトは打ったのか鼻に手を当ててうずくまる。痛そうだ。幸い血は出ていないようで、サキカは安堵した。


「ご、ごめんね。大丈夫……?」


 しかし、よくあることなのか、無情にもガイアたちは彼に構うことなく歩みを進める。


「サキカ、行くぞ」


 ガイアがサキカの肩に手を回してきた。


「れ、レイトは?」

「ほっとけ」


 彼らの距離感は、まだつかめない。しかし、ガイアがそういうなら、放っておいても大丈夫なのだろう。

 躊躇しつつもガイアの力に逆らわず、サキカは有舞たちと共に廊下を進んだ。


 情けない声が、後ろから追ってくる。派手な足音と共に、魔力と気配が近づいてきた。

 ちらりと後ろを見れば、レイトが駆けてくる姿が見える。サキカは小さく苦笑を漏らした。


 ──サキカたちがたどりついたのは、一つの魔方陣だった。ロビーの隅にある階段の隣の床に大きく描かれていた。


「転移魔方陣……?」


 見慣れたそれに、サキカは小さく呟いた。

  


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2018年02月06日

 サキカは首を傾げた。彼が心配す

サキカは首を傾げた。彼が心配するようなことは何もなかったはずである。

 暫しの間思考を巡らせ、あることを思い出した。


「……中級魔人にあったね、そういえば」

日本不動產
 サキカにとっては脅威でも何でもない存在であるが、中級魔人は本来ならば恐れられる存在である。この国でも千五百人しかいないというギルドランク──全ギルド共通のランク付けであり、一番下はFランク、そこからE、D……となっていき、Aランクの次は、AA、AAA、次にS、SS、SSS、そして一番上がXランク──Aの者が一対一で戦ってなんとか勝利するくらいの強さの魔人だ。

 しかしながら、世界最強と呼ばれている総帝──サキカにとっては、弱い相手である。サキカのランクはX。世界で一人しか持つ者がいない、最上位ランクの持ち主なのだから。


「中級魔人!? ……魔人が何故いたんだ」

「五人もいたから……、何か仕掛けようとしていたのかもしれない。調べておくよ」


 魔人は本来、魔界と呼ばれるこの人間界からほんの少しずれた世界で生きている。下級から順に中級、上級、最上級とランク付けがされている。

 魔界には人間界に蔓延る魔物よりも狂暴な魔物が住んでいるらしい。

 魔物も元は魔界に住んでいたと言われているが、本当のところは神のみぞ知ることだろう。聖獣界と呼ばれる、聖獣や使い魔たちが生活している世界にも、魔物はいるらしい。


."
  


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2018年01月31日

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2018年01月25日

「違う違う…ママとかお客さんの真似して言ってんの…

"「違う違う…ママとかお客さんの真似して言ってんの……ごちそうさんって」

合点がいったママ、成る程と頭を縦に振った
まだ美沙子は笑いながら、ママと遥香の食器を片付ける

「じゃ…あたし、行 "" 大阪樓價わ……明日は、あたしんちの店お休みだから…日曜だから、ぐうたら寝でもしてるし」

「そうか……明日は日曜か……じゃ…私も、明日は遥香を連れて、公園でも行くわ」

ママは笑って、店を出た









遥香の待機児童が終了したのは、3才の頃

「やだぁ!…一緒に帰るぅ!…お母ちゃんと一緒に帰るぅ!」

泣いて、美沙子の右足にしがみついて、離さない
『毎朝の恒例』になってしまった

「ち…ちょっと…遥香!……そんなにしがみついたら、お母さん歩けないでしょ!?……いったい毎朝毎朝、なんなの?」

左足を踏ん張り右足を引き摺ると、遥香の泣き声が止んだ

「…お母ちゃん……これ…面白い!……もっとやって!」

「………冗談じゃないわよ!…降りて!……お母さん、お仕事しなきゃならないんだから!」

「うん…わかった…お仕事、頑張ってね」

先程の涙はなんなのか
ケロリとした顔で、母親の足から降りて手を振った
呆気に取られる美沙子"
  


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2018年01月22日

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2018年01月22日

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2018年01月21日

jjhf

gjhfgjh  


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2018年01月21日

jjhf

gjhfgjh  


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2017年12月31日

"、そのほかの仕事も当然同時に進めて終わらせなければならない。 ともすれば、お喋りしている時間も勿体な"

"、そのほかの仕事も当然同時に進めて終わらせなければならない。
ともすれば、お喋りしている時間も勿体ない。
って言っても、みんなの仕事の手を止めたのはわたしなんだけどね・・・・
「あ、ちょっと資料室に行って来ます」
ある商品の説明文を打ち込もうとしたら、少し簡素な短い説明文しか書いていない。
これではお客様には伝わらないかもしれない、と加筆修正を加えておこうと思い資料室に向かった。
資料室は、数ある会議室の中で一番大きくて広い会議室がある15階の奥の方に位置する。
ここの階で役職組の会議をしているはずだからと、エレベーターではなく階段で上がることにした。
静かな空間にエレベーターの到着音って響くんだよね・・・・・
静かな空間なのかどうかは知らないけど。
どうせなら階段で昇った方が安心かもしれない。
15階に着いて、足音を立てないように扉の閉められた会議室を通り過ぎる。
ここの階は、外からのお客さんを招いての会議もするために、床の上にはグレーのカーペットが敷かれているからヒールの音は消されている。
それでも静々と奥の資料室に向かって行き、借りてきたカギで開けて中に入ると、普段、人の出入りが少ないからか埃っぽい。
窓を開けて空気を入れ替えたいけど、お隣にガタガタ聞こえると嫌だしな・・・・・
顔をしかめつつ、自社製品のデータが載った百科事典のような大きくて分厚い資料本の棚に行き、アイウエオ順で探し始めた。
順に見ながら少しずつ横に移動すると、
「あ!」
探していた本を見つけて、つい声を出してしまった。
ついでにニマって締まりのない顔をして、そんな自分を恥じた。
でも・・・・・ッム!
なんであんなに大きくて重たい本が棚の一番上に置いてあるのよ!
背の低いわたしだと、背伸びしたって指が掠るだけ。
たしか・・・・・
キョロキョロして踏み台を探すも、所定の場所にはないようだ。
っもう!最後に使った人は元に戻しておいてよね!
ここは自分だけしかいないと言う安心感から、普段は表に出さない素の感情をモロに表しちゃっている。
ひとりプンプン怒りながら踏み台を探そうと来た道を戻りかけたところで気がついた。
こちらを見て驚く顔をしている福田課長の姿が目の前にあった。
シマッタ!という顔と驚く顔は表に出さずに隠しながら
「どうされたのですか?まだ会議中では?」
そ知らぬ顔をして彼がここにいる理由を問いかけた。
「驚いたな。キミとは4年?5年?それくらいの付き合いだけど、ここの部屋に入って5分もしない短い時間で、見た事もないキミのいろんな顔を見れた・・・・・」
目の前に宇宙人が出て驚いているような感じで、ボソボソと言葉を落としている。
たしかに、入社して研修などをこなした後の6月から課長とずっと同じ部署で働いている。
最初の内は緊張で自分を曝け出す事が出来なかった。
慣れてきたころに、あの噂が出回ってあこがれていた先輩に拒絶されてしまい、その後は自分を曝け出す事をやめてしまった。
だから、課長が言っている事もまんざら大袈裟でもないわけだけど・・・・・
「し、失礼します」
戸惑いを感じつつも、やはり繕う顔を見せずに無表情で彼の横を通り抜けて部屋から出ようとしたけど
「本はいいのか?」
すり抜ける寸前で腕をつかまれて歩を止められてしまった。
「大丈夫です。元に戻ります」
居心地悪いこの状態で、彼が戻る気配もなしでは自分が部屋を出て行った方が無難だろうと思ったのに、掴まれた腕はなかなか放してもらえない。
それどころか、追いつめられてわたしの背には棚が当たっている。
タラ~っと冷汗が背中を伝って落ちて行く感覚が、なお更緊張感をマックスにさせているけど、自分で意識して表情を消す事はすでに曲芸の域まで達していることを自認しているわたしは
「課長。まだ仕事が残ってますので戻りたいのですが」
一層意識して感情を殺しまくった。
これは嘘じゃない。
たしかに部長に頼まれた仕事がたんまりと残っている。
ここで時間をロスしてしまっているから、今日のノルマが達成できずに残業は確定だろう。
「自社製品カタログを取りに来たって事は、部長に頼まれた資料本?」
背の高い彼が、背の低いわたしを見下ろしながら話し出し、次第に腰を落として目線を合わせて来る。
「はい。来週使う物ですので、出来れば今週中には目途をつけておきたいので戻ります」
扉側に立つ彼は、部屋から出ないように壁を作っている状態。
「なんで、自分を隠すの?」
わたしの話は丸無視の課長に苛立ちが湧いてくるけど、それも隠し
「隠してません。これが自分です。課長、会議の途中ではないのですか?」
壁を通して、隣からは話し合う声が聞こえて来ている。
「ああ、まだやってるよ。僕は電話がかかって来たから通路に出てきた」
そこでわたしがここに入るのを見て、彼も入って来たのか・・・・
それでも、長い時間退座していることもできないようでチラッとブランド物の腕時計を見ている。
課長職で、ましてや一番最年少の29歳(だったかな?)にしての課長では、役職組では当然一番の下っ端。
サボるわけにもいかないようで
「今日は残業だな?」
表情には出していないと言う自信はあるが、心でも読まれたのだろうか?
ずいぶんと自信満々と聞いてくる彼に無言で抵抗すると
「今日の会議は、昨日よりかは早く終わるはずだ。
残業でなくても、俺が終わるまで待っている事」
それは業務命令なのだろうか?
終業後の事まで指図されなくてはならないのか、そしてそれを容認しなくてはならないのだろうか?
「待つ待たないはお前が決めればいい。まあ、お前の事だから待ってるだろうけどな」
頬に手を当てられて、感情は出ていないようだけど引きつりつつあるのは自覚している。
「・・・・・っふ。どの商品のが欲しいんだ?」
意味ありげに笑ったあと、壁を作っていた体を棚から離して、先ほどのお目当ての棚の方に歩き出した。
固まったままでいるあたしに向かって
「ほら!取ってやるから、言ってみん!」
あぁ・・・・。
踏み台を探していたこともわかっていたのか・・・・・
「ホ行の本をお願いします」
取ってくれるのならありがたい。踏み台を探す手間が省けるし、何よりも早く課長から離れてこの部屋を出たい。
背伸びをしなくても手を上にあげただけですんなりと取れる課長の姿を見ると、自分が低身長なのが嫌になるし、この男の頭をハンマーでぶっ叩きたくなる。
カチャカチャ鳴る音は、わたしには心地よい音だったはず。
それなのに、今のわたしには不快に感じてしまう。
それもこれも、資料室から戻ったわたしに、
「アラーキー!待ってたよ!」
やめてと何度もお願いしてもやめる事をしない、佐藤さんが勝手につけたわたしの呼び名を叫ぶ声にゲンナリとした。
わたしよりも3つ年上(昨日誕生日だったらしい)の佐藤さんは、パソコンが若干・・・いや、かなり?苦手らしい。
エラーが発生すると、すぐにそれを放棄してしまう。
わたしがいなければ戻るまで待つことを優先させる。
結局は、今回の佐藤さんの注文の方に時間がかかってしまい、わたしが自分の仕事に戻ったのは退勤時間の30分前。
わたしに任せるだけだった佐藤さんは、使われていないパソコンを使って、さっさと自分の分の仕事を終わらせることに成功している。
わたし?
「っもう!」
だれもいなくなったフロアで、不機嫌さマックスで声にまで出して仕事をしているよ?
それも、課長の存在を頭から消え去らせるほどにね。
待ってろと言われた事も、会議が長引いているのも忘れてるね。
もう、全員が帰ったと思って、顔には皺が出来るほどに歪ませてキーボードを叩いてますもの。
「遅くなったから怒ってるのか?」
そんな言葉が聞こえて来るとは思ってもいないわたしは「っどぁ!」と謎の言葉を叫んで、思わずイスを後ろにおっ放うほどに驚いちゃってますが?
「なんだ?どぁって・・・」
一瞬、呆れたような顔をした後にすぐに笑い出した福田課長。
「驚かさないでください。もうだれもいないと思ってたのに・・・・」
うしろにすっ飛んで行って、ひっくり返ってしまったイスを元に戻しながら文句を言わせてもらえば
「なんだ、待ってたんじゃなかったのか?」
今度は眉尻を上げて少し不機嫌なお顔。
この人って、いろんな表情を惜しげもなく見せるのね。
油切れの所為か、キュイキュイと変な音をさせながらイスを引っ張って来て定位置に戻しながら座り
「まだ終わらなかっただけです。課長は終わられたんですか?思ったよりもかかってたようですね」
先ほどの課長の予想では、昨日よりも早く終わるだろうと言ってたけど、実際はさほど変わらない時間に終わったようだ。
「会議は終わったけどな」
あぁ、会議だけですか。
「お疲れ様です。わたしはもう少しかかりますので」
こうやって喋っていても、手と視線は仕事に戻っている。
人の事まで心配などしていられない。
「あとどれくらいだ?」
その場で聞けばいいものを、なぜか背中越しに手を伸ばしてマウスを操作する課長に
「課長。重いです」
若干、課長の体重もわたしの背中に乗せられている。
「俺は軽い方だ」
あんたの体重なんて興味はない。わたしに乗せている体を離せと言ってるまでだ!
「だいぶ終わってるじゃないか。残りは明日でも構わないな」
その言葉は、わたしに向かっての問いかけではなかったのですか?
勝手に操作させて保存させて終了させるのはやめていただきたかったですね。
阻止しないように、マウスを持つ反対の手でわたしの体を制御するのも一緒にやめて欲しかったです。
何気に抱きしめられているような錯覚に陥ってしまいますが・・・・・
パソコンの画面はシャットダウンされて光を放つことを終えて、変わりに課長の片腕で抱きしめられているわたし達の姿をぼんやりと映し出している。
片腕で抱かれている状態から、両腕で包み込まれるように抱かれる形に変わって来た時に
「課長?これはどういうことでしょう?」
抱かれている意味が解らない、と問いかけた。
「頭のいいお前ならわかるだろう?俺がお前を抱きしめている」
先ほどの資料室の途中辺りから言葉使いが変わっている。""僕""と自分の事を呼んでいたのが""俺""に、""キミ""か名字呼びだったわたしの事を""お前""と表現しだした。
他の同僚に見せる課長の姿は仮面をかぶった仮の姿か・・・・
わたしと対して変わらないな・・・・・
「なぜ、わたしは抱かれているのでしょう?」
そもそも、それを聞いてるんだよ!
「その答えは一つしかないだろう?」
抱きしめながら首の後ろに顔を埋めるのはやめていただきたい。
こしょばゆいでございます・・・・・
「はて?」
意味が解らずしょうじきにわからないと首をかしげる仕草を取りながら、埋められた課長の顔を振るい落とす作戦だったけど
「逃げるなよ・・・・・」
すぐにまた顔が近づいて来ただけではなく、今度はわたしの顔を押しやるように耳下の首筋に唇を当てられてしまった。
ぞわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・
背中を走る悪寒に、溜まらず体が震えた。
「っふ、弱点はここか・・・・」
首筋が弱い事がバレてしまったようだ。
「あの。わたしは仕事が終わったらしいので帰りたいのですが」
終わらせるつもりはなかったけど、すでにパソコンの電源も落とされたのでは仕方がない。
「ああ、帰ろうか。どこで食べて行く?」
「っはい?食べて行く?」
なぜ、あなたと夕飯を共にすることになっている?
「どうせ、帰ったら食事はとるだろう?だったら食べて帰れば手間が省ける」
・・・・・うん、そうだな。
帰ってから支度をして食べ始めるのは9時半を過ぎるだろうし・・・・
「だろ?ほら、着替えておいで」
抱きしめていた腕をほどかれると、重いと文句を言いながらも暖められていた熱が飛んで行くような切ない気持ちになってしまった。
座っていたイスを引っ張り出して、脇の下に手を入れて立たされると
「ほら!俺に着替えさせられたいのか?」
言いながら制服のベストのボタンに手を伸ばす課長の手を止めて
「それには及びません。では着替えて参ります。が、わたしは帰ります」
もともと一緒に食事をするなんて、わたしはひと言も言っていない。
気を遣う上役との食事なんて、真っ平ごめんだ。
「はいはい。いいから着替えて来いよ」
立ち上がったままのわたしのお尻を叩くのはセクハラですよ?
訴えましょうか?
まあ、抱きしめられていた時点でセクハラでしたけど。
仕方なしに引き出しから小さいバッグを取り出して、更衣室の方に向かった。
・・・・・・・・・・・・
「いらっしゃぁ~い」
≪美咲≫と絞り染めされた暖簾をくぐり抜け、扉を開けて中に入ると和服姿の女将さんがニコリと笑ってこちらを振り向いた。
「あれ?青葉クン久しぶりね?」
課長の顔を見てそう呼ぶ女将さん。
青葉クン?だれ?
キョロキョロとわたし達の他にもだれかお客でも来たのかと探す素振りを見せれば
「お前は上司の名前ぐらい覚えておけよ!」
再び繋がれていた手をほどき、その手で頭を小突かれた。
「青葉クン?」
課長の顔を指さして確認すれば
「そうだ」
不機嫌さマックスの課長が頷いた。
クスクス笑ってこちらに近づいて来た女将さんが
「いらっしゃいませ。青葉クンの会社の方ですか?」
聞きながらあたし達が着ていたコートを受け取ってくれる。
「はい。荒木戸と申します」
背の低いわたしよりも、少しだけ高い目線の女将さんに答えると
「この店の女将の美咲です。この子は田舎が一緒でご近所に住んでいたのよ」
どうぞ、と促されてカウンターに腰掛けた。
週半ばというのに、結構なお客さんでそこしか空いていなかったから。
「お腹が空いてるんだ。適当に出してよ。お酒は、なになら飲める?」
美咲さんに向かって注文していた課長が、最後はわたしに聞いて来て
「じゃあ、とりあえずビール下さい」
仕事終わりと言えばビールが恋しいのはどの季節でも共通な事。
「じゃあ俺も。あ、ここトン汁が美味いよ。食べる?」
うん、食べたいかな?コクリと頷くと美咲さんが
「はい、ちょっと待っててね」
笑顔で受けてくれて、厨房の方に向かって行った。
「課長、東京の方じゃなかったんですね」
てっきりこの洗練されたイケメンさんは東京生まれなのかと思ってた。
「生まれは長野。高校からこっちに来ているから半々くらいだな」
16年間長野で暮らし、その後は東京で暮らしていると言うことか。
「俺の同級生のお兄さんと、美咲さんの息子さんが仲良しでさ、たまに遊んでもらったりしてた」
課長の子供時代なんて想像がつかないな・・・・
このイケメンが小さくなった姿だろうか?
「お前は?」
話の流れからか、わたしの事も聞いて来たようだけど
「わたしの事はいいですよ。面白い話もないですし、東京生まれの東京育ちですから」
話したいとも思っていないし、話したくないと思っているから軽く拒絶させてもらった。
拒絶した意図を汲んでくれたのか、それ以上の追及はやめてくれたようだ。
ビールが届いて乾杯して口に含むと、凝り固まっていた表情筋が緩んでしまいそうになる。
素を出すのを拒んで一気に半分以上を飲み干すと、呆れた顔でわたしを見る課長の目と合わさってしまった。
「もっとゆっくりと呑めよ。そう言えばお前と呑むことって滅多にないよな?」
会社の飲み会自体あまり積極的には参加しない。
早く家に帰って、だれもいない空間で自分を曝け出したいから。
「あまり強くないですから・・・・」
飲み会に不参加な理由は、酒が苦手と言うことにしてあった。
「強くない割には言い飲みっぷりだったけどな・・・・」
へへ、バレてら!
心の中でてへぺろをご披露して、このあとは少し控えて飲もうと自分を嗜めた。
だけど、次々とわたし達の前に出される美味しそうな料理に、我を忘れてしまいそうになる。
どこもこれも美味しくて、わたしの箸が止まらない。
「どう?お口に合う?」
他所のお客さん注文のお酒をお盆に載せて、通りすがりに聞いて来た美咲さんに
「超絶絶品です!」
思わず笑顔で応えてしまった。
「ふふ、ありがとうね」
少し驚いた顔を見せた美咲さんも笑顔でお酒を運んで行き
「そう言う顔をもっと見せればいいのに・・・・」
この人の存在をまたしても忘れていた自分に説教したくなる。
「なんの事でしょうか?」
緩んだ顔を元に戻してお酒を口にすると、隣からはため息が聞こえて来ちゃった。
制服のポケットに入れっぱなしだった自分のスマホが震えている。
ランチに持って行ったあと、引き出しにしまっておくのを忘れてた。
未だに部長、課長も交じったお喋りが続いている中、打ち込む手を止めてスマホを確かめると、
あれ?茉優からのラインだ・・・・
<ちょっと!福田課長と食事に行ったって、本当?????>
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っげ!」
どこかで見てい"
  


Posted by James Bond at 16:48Comments(0)Travel

2017年12月31日

"、そのほかの仕事も当然同時に進めて終わらせなければならない。 ともすれば、お喋りしている時間も勿体な"

"、そのほかの仕事も当然同時に進めて終わらせなければならない。
ともすれば、お喋りしている時間も勿体ない。
って言っても、みんなの仕事の手を止めたのはわたしなんだけどね・・・・
「あ、ちょっと資料室に行って来ます」
ある商品の説明文を打ち込もうとしたら、少し簡素な短い説明文しか書いていない。
これではお客様には伝わらないかもしれない、と加筆修正を加えておこうと思い資料室に向かった。
資料室は、数ある会議室の中で一番大きくて広い会議室がある15階の奥の方に位置する。
ここの階で役職組の会議をしているはずだからと、エレベーターではなく階段で上がることにした。
静かな空間にエレベーターの到着音って響くんだよね・・・・・
静かな空間なのかどうかは知らないけど。
どうせなら階段で昇った方が安心かもしれない。
15階に着いて、足音を立てないように扉の閉められた会議室を通り過ぎる。
ここの階は、外からのお客さんを招いての会議もするために、床の上にはグレーのカーペットが敷かれているからヒールの音は消されている。
それでも静々と奥の資料室に向かって行き、借りてきたカギで開けて中に入ると、普段、人の出入りが少ないからか埃っぽい。
窓を開けて空気を入れ替えたいけど、お隣にガタガタ聞こえると嫌だしな・・・・・
顔をしかめつつ、自社製品のデータが載った百科事典のような大きくて分厚い資料本の棚に行き、アイウエオ順で探し始めた。
順に見ながら少しずつ横に移動すると、
「あ!」
探していた本を見つけて、つい声を出してしまった。
ついでにニマって締まりのない顔をして、そんな自分を恥じた。
でも・・・・・ッム!
なんであんなに大きくて重たい本が棚の一番上に置いてあるのよ!
背の低いわたしだと、背伸びしたって指が掠るだけ。
たしか・・・・・
キョロキョロして踏み台を探すも、所定の場所にはないようだ。
っもう!最後に使った人は元に戻しておいてよね!
ここは自分だけしかいないと言う安心感から、普段は表に出さない素の感情をモロに表しちゃっている。
ひとりプンプン怒りながら踏み台を探そうと来た道を戻りかけたところで気がついた。
こちらを見て驚く顔をしている福田課長の姿が目の前にあった。
シマッタ!という顔と驚く顔は表に出さずに隠しながら
「どうされたのですか?まだ会議中では?」
そ知らぬ顔をして彼がここにいる理由を問いかけた。
「驚いたな。キミとは4年?5年?それくらいの付き合いだけど、ここの部屋に入って5分もしない短い時間で、見た事もないキミのいろんな顔を見れた・・・・・」
目の前に宇宙人が出て驚いているような感じで、ボソボソと言葉を落としている。
たしかに、入社して研修などをこなした後の6月から課長とずっと同じ部署で働いている。
最初の内は緊張で自分を曝け出す事が出来なかった。
慣れてきたころに、あの噂が出回ってあこがれていた先輩に拒絶されてしまい、その後は自分を曝け出す事をやめてしまった。
だから、課長が言っている事もまんざら大袈裟でもないわけだけど・・・・・
「し、失礼します」
戸惑いを感じつつも、やはり繕う顔を見せずに無表情で彼の横を通り抜けて部屋から出ようとしたけど
「本はいいのか?」
すり抜ける寸前で腕をつかまれて歩を止められてしまった。
「大丈夫です。元に戻ります」
居心地悪いこの状態で、彼が戻る気配もなしでは自分が部屋を出て行った方が無難だろうと思ったのに、掴まれた腕はなかなか放してもらえない。
それどころか、追いつめられてわたしの背には棚が当たっている。
タラ~っと冷汗が背中を伝って落ちて行く感覚が、なお更緊張感をマックスにさせているけど、自分で意識して表情を消す事はすでに曲芸の域まで達していることを自認しているわたしは
「課長。まだ仕事が残ってますので戻りたいのですが」
一層意識して感情を殺しまくった。
これは嘘じゃない。
たしかに部長に頼まれた仕事がたんまりと残っている。
ここで時間をロスしてしまっているから、今日のノルマが達成できずに残業は確定だろう。
「自社製品カタログを取りに来たって事は、部長に頼まれた資料本?」
背の高い彼が、背の低いわたしを見下ろしながら話し出し、次第に腰を落として目線を合わせて来る。
「はい。来週使う物ですので、出来れば今週中には目途をつけておきたいので戻ります」
扉側に立つ彼は、部屋から出ないように壁を作っている状態。
「なんで、自分を隠すの?」
わたしの話は丸無視の課長に苛立ちが湧いてくるけど、それも隠し
「隠してません。これが自分です。課長、会議の途中ではないのですか?」
壁を通して、隣からは話し合う声が聞こえて来ている。
「ああ、まだやってるよ。僕は電話がかかって来たから通路に出てきた」
そこでわたしがここに入るのを見て、彼も入って来たのか・・・・
それでも、長い時間退座していることもできないようでチラッとブランド物の腕時計を見ている。
課長職で、ましてや一番最年少の29歳(だったかな?)にしての課長では、役職組では当然一番の下っ端。
サボるわけにもいかないようで
「今日は残業だな?」
表情には出していないと言う自信はあるが、心でも読まれたのだろうか?
ずいぶんと自信満々と聞いてくる彼に無言で抵抗すると
「今日の会議は、昨日よりかは早く終わるはずだ。
残業でなくても、俺が終わるまで待っている事」
それは業務命令なのだろうか?
終業後の事まで指図されなくてはならないのか、そしてそれを容認しなくてはならないのだろうか?
「待つ待たないはお前が決めればいい。まあ、お前の事だから待ってるだろうけどな」
頬に手を当てられて、感情は出ていないようだけど引きつりつつあるのは自覚している。
「・・・・・っふ。どの商品のが欲しいんだ?」
意味ありげに笑ったあと、壁を作っていた体を棚から離して、先ほどのお目当ての棚の方に歩き出した。
固まったままでいるあたしに向かって
「ほら!取ってやるから、言ってみん!」
あぁ・・・・。
踏み台を探していたこともわかっていたのか・・・・・
「ホ行の本をお願いします」
取ってくれるのならありがたい。踏み台を探す手間が省けるし、何よりも早く課長から離れてこの部屋を出たい。
背伸びをしなくても手を上にあげただけですんなりと取れる課長の姿を見ると、自分が低身長なのが嫌になるし、この男の頭をハンマーでぶっ叩きたくなる。
カチャカチャ鳴る音は、わたしには心地よい音だったはず。
それなのに、今のわたしには不快に感じてしまう。
それもこれも、資料室から戻ったわたしに、
「アラーキー!待ってたよ!」
やめてと何度もお願いしてもやめる事をしない、佐藤さんが勝手につけたわたしの呼び名を叫ぶ声にゲンナリとした。
わたしよりも3つ年上(昨日誕生日だったらしい)の佐藤さんは、パソコンが若干・・・いや、かなり?苦手らしい。
エラーが発生すると、すぐにそれを放棄してしまう。
わたしがいなければ戻るまで待つことを優先させる。
結局は、今回の佐藤さんの注文の方に時間がかかってしまい、わたしが自分の仕事に戻ったのは退勤時間の30分前。
わたしに任せるだけだった佐藤さんは、使われていないパソコンを使って、さっさと自分の分の仕事を終わらせることに成功している。
わたし?
「っもう!」
だれもいなくなったフロアで、不機嫌さマックスで声にまで出して仕事をしているよ?
それも、課長の存在を頭から消え去らせるほどにね。
待ってろと言われた事も、会議が長引いているのも忘れてるね。
もう、全員が帰ったと思って、顔には皺が出来るほどに歪ませてキーボードを叩いてますもの。
「遅くなったから怒ってるのか?」
そんな言葉が聞こえて来るとは思ってもいないわたしは「っどぁ!」と謎の言葉を叫んで、思わずイスを後ろにおっ放うほどに驚いちゃってますが?
「なんだ?どぁって・・・」
一瞬、呆れたような顔をした後にすぐに笑い出した福田課長。
「驚かさないでください。もうだれもいないと思ってたのに・・・・」
うしろにすっ飛んで行って、ひっくり返ってしまったイスを元に戻しながら文句を言わせてもらえば
「なんだ、待ってたんじゃなかったのか?」
今度は眉尻を上げて少し不機嫌なお顔。
この人って、いろんな表情を惜しげもなく見せるのね。
油切れの所為か、キュイキュイと変な音をさせながらイスを引っ張って来て定位置に戻しながら座り
「まだ終わらなかっただけです。課長は終わられたんですか?思ったよりもかかってたようですね」
先ほどの課長の予想では、昨日よりも早く終わるだろうと言ってたけど、実際はさほど変わらない時間に終わったようだ。
「会議は終わったけどな」
あぁ、会議だけですか。
「お疲れ様です。わたしはもう少しかかりますので」
こうやって喋っていても、手と視線は仕事に戻っている。
人の事まで心配などしていられない。
「あとどれくらいだ?」
その場で聞けばいいものを、なぜか背中越しに手を伸ばしてマウスを操作する課長に
「課長。重いです」
若干、課長の体重もわたしの背中に乗せられている。
「俺は軽い方だ」
あんたの体重なんて興味はない。わたしに乗せている体を離せと言ってるまでだ!
「だいぶ終わってるじゃないか。残りは明日でも構わないな」
その言葉は、わたしに向かっての問いかけではなかったのですか?
勝手に操作させて保存させて終了させるのはやめていただきたかったですね。
阻止しないように、マウスを持つ反対の手でわたしの体を制御するのも一緒にやめて欲しかったです。
何気に抱きしめられているような錯覚に陥ってしまいますが・・・・・
パソコンの画面はシャットダウンされて光を放つことを終えて、変わりに課長の片腕で抱きしめられているわたし達の姿をぼんやりと映し出している。
片腕で抱かれている状態から、両腕で包み込まれるように抱かれる形に変わって来た時に
「課長?これはどういうことでしょう?」
抱かれている意味が解らない、と問いかけた。
「頭のいいお前ならわかるだろう?俺がお前を抱きしめている」
先ほどの資料室の途中辺りから言葉使いが変わっている。""僕""と自分の事を呼んでいたのが""俺""に、""キミ""か名字呼びだったわたしの事を""お前""と表現しだした。
他の同僚に見せる課長の姿は仮面をかぶった仮の姿か・・・・
わたしと対して変わらないな・・・・・
「なぜ、わたしは抱かれているのでしょう?」
そもそも、それを聞いてるんだよ!
「その答えは一つしかないだろう?」
抱きしめながら首の後ろに顔を埋めるのはやめていただきたい。
こしょばゆいでございます・・・・・
「はて?」
意味が解らずしょうじきにわからないと首をかしげる仕草を取りながら、埋められた課長の顔を振るい落とす作戦だったけど
「逃げるなよ・・・・・」
すぐにまた顔が近づいて来ただけではなく、今度はわたしの顔を押しやるように耳下の首筋に唇を当てられてしまった。
ぞわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・
背中を走る悪寒に、溜まらず体が震えた。
「っふ、弱点はここか・・・・」
首筋が弱い事がバレてしまったようだ。
「あの。わたしは仕事が終わったらしいので帰りたいのですが」
終わらせるつもりはなかったけど、すでにパソコンの電源も落とされたのでは仕方がない。
「ああ、帰ろうか。どこで食べて行く?」
「っはい?食べて行く?」
なぜ、あなたと夕飯を共にすることになっている?
「どうせ、帰ったら食事はとるだろう?だったら食べて帰れば手間が省ける」
・・・・・うん、そうだな。
帰ってから支度をして食べ始めるのは9時半を過ぎるだろうし・・・・
「だろ?ほら、着替えておいで」
抱きしめていた腕をほどかれると、重いと文句を言いながらも暖められていた熱が飛んで行くような切ない気持ちになってしまった。
座っていたイスを引っ張り出して、脇の下に手を入れて立たされると
「ほら!俺に着替えさせられたいのか?」
言いながら制服のベストのボタンに手を伸ばす課長の手を止めて
「それには及びません。では着替えて参ります。が、わたしは帰ります」
もともと一緒に食事をするなんて、わたしはひと言も言っていない。
気を遣う上役との食事なんて、真っ平ごめんだ。
「はいはい。いいから着替えて来いよ」
立ち上がったままのわたしのお尻を叩くのはセクハラですよ?
訴えましょうか?
まあ、抱きしめられていた時点でセクハラでしたけど。
仕方なしに引き出しから小さいバッグを取り出して、更衣室の方に向かった。
・・・・・・・・・・・・
「いらっしゃぁ~い」
≪美咲≫と絞り染めされた暖簾をくぐり抜け、扉を開けて中に入ると和服姿の女将さんがニコリと笑ってこちらを振り向いた。
「あれ?青葉クン久しぶりね?」
課長の顔を見てそう呼ぶ女将さん。
青葉クン?だれ?
キョロキョロとわたし達の他にもだれかお客でも来たのかと探す素振りを見せれば
「お前は上司の名前ぐらい覚えておけよ!」
再び繋がれていた手をほどき、その手で頭を小突かれた。
「青葉クン?」
課長の顔を指さして確認すれば
「そうだ」
不機嫌さマックスの課長が頷いた。
クスクス笑ってこちらに近づいて来た女将さんが
「いらっしゃいませ。青葉クンの会社の方ですか?」
聞きながらあたし達が着ていたコートを受け取ってくれる。
「はい。荒木戸と申します」
背の低いわたしよりも、少しだけ高い目線の女将さんに答えると
「この店の女将の美咲です。この子は田舎が一緒でご近所に住んでいたのよ」
どうぞ、と促されてカウンターに腰掛けた。
週半ばというのに、結構なお客さんでそこしか空いていなかったから。
「お腹が空いてるんだ。適当に出してよ。お酒は、なになら飲める?」
美咲さんに向かって注文していた課長が、最後はわたしに聞いて来て
「じゃあ、とりあえずビール下さい」
仕事終わりと言えばビールが恋しいのはどの季節でも共通な事。
「じゃあ俺も。あ、ここトン汁が美味いよ。食べる?」
うん、食べたいかな?コクリと頷くと美咲さんが
「はい、ちょっと待っててね」
笑顔で受けてくれて、厨房の方に向かって行った。
「課長、東京の方じゃなかったんですね」
てっきりこの洗練されたイケメンさんは東京生まれなのかと思ってた。
「生まれは長野。高校からこっちに来ているから半々くらいだな」
16年間長野で暮らし、その後は東京で暮らしていると言うことか。
「俺の同級生のお兄さんと、美咲さんの息子さんが仲良しでさ、たまに遊んでもらったりしてた」
課長の子供時代なんて想像がつかないな・・・・
このイケメンが小さくなった姿だろうか?
「お前は?」
話の流れからか、わたしの事も聞いて来たようだけど
「わたしの事はいいですよ。面白い話もないですし、東京生まれの東京育ちですから」
話したいとも思っていないし、話したくないと思っているから軽く拒絶させてもらった。
拒絶した意図を汲んでくれたのか、それ以上の追及はやめてくれたようだ。
ビールが届いて乾杯して口に含むと、凝り固まっていた表情筋が緩んでしまいそうになる。
素を出すのを拒んで一気に半分以上を飲み干すと、呆れた顔でわたしを見る課長の目と合わさってしまった。
「もっとゆっくりと呑めよ。そう言えばお前と呑むことって滅多にないよな?」
会社の飲み会自体あまり積極的には参加しない。
早く家に帰って、だれもいない空間で自分を曝け出したいから。
「あまり強くないですから・・・・」
飲み会に不参加な理由は、酒が苦手と言うことにしてあった。
「強くない割には言い飲みっぷりだったけどな・・・・」
へへ、バレてら!
心の中でてへぺろをご披露して、このあとは少し控えて飲もうと自分を嗜めた。
だけど、次々とわたし達の前に出される美味しそうな料理に、我を忘れてしまいそうになる。
どこもこれも美味しくて、わたしの箸が止まらない。
「どう?お口に合う?」
他所のお客さん注文のお酒をお盆に載せて、通りすがりに聞いて来た美咲さんに
「超絶絶品です!」
思わず笑顔で応えてしまった。
「ふふ、ありがとうね」
少し驚いた顔を見せた美咲さんも笑顔でお酒を運んで行き
「そう言う顔をもっと見せればいいのに・・・・」
この人の存在をまたしても忘れていた自分に説教したくなる。
「なんの事でしょうか?」
緩んだ顔を元に戻してお酒を口にすると、隣からはため息が聞こえて来ちゃった。
制服のポケットに入れっぱなしだった自分のスマホが震えている。
ランチに持って行ったあと、引き出しにしまっておくのを忘れてた。
未だに部長、課長も交じったお喋りが続いている中、打ち込む手を止めてスマホを確かめると、
あれ?茉優からのラインだ・・・・
<ちょっと!福田課長と食事に行ったって、本当?????>
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っげ!」
どこかで見てい"
  


Posted by James Bond at 02:10Comments(0)