「ざぎが~」 声をか
「ざぎが~」
声をかけただけというのに、レイトは泣き出した。無意識に彼を泣かせてしまったらしい。
どうすればよいのかわからず、困り果ててガイアに視線を向けようと
日本樓 按揭 ると、レイトが飛び付いてきた。
思わず反射的に避けてしまう。鈍い音がして、レイトが床に飛び込んだ。
レイトは打ったのか鼻に手を当ててうずくまる。痛そうだ。幸い血は出ていないようで、サキカは安堵した。
「ご、ごめんね。大丈夫……?」
しかし、よくあることなのか、無情にもガイアたちは彼に構うことなく歩みを進める。
「サキカ、行くぞ」
ガイアがサキカの肩に手を回してきた。
「れ、レイトは?」
「ほっとけ」
彼らの距離感は、まだつかめない。しかし、ガイアがそういうなら、放っておいても大丈夫なのだろう。
躊躇しつつもガイアの力に逆らわず、サキカは有舞たちと共に廊下を進んだ。
情けない声が、後ろから追ってくる。派手な足音と共に、魔力と気配が近づいてきた。
ちらりと後ろを見れば、レイトが駆けてくる姿が見える。サキカは小さく苦笑を漏らした。
──サキカたちがたどりついたのは、一つの魔方陣だった。ロビーの隅にある階段の隣の床に大きく描かれていた。
「転移魔方陣……?」
見慣れたそれに、サキカは小さく呟いた。
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