2021年07月24日
『うん、気付いた
『うん、気付いた。これからゆっくり食べるね。わざわざありがとう。』
「ううん、あのね、赤ちゃん順調だったよ。その報告のついでに顔を見に行って、久し振りに倫也さんの会社も見たくなって、お弁当は理由が欲しかっただけだから気にしないで。」
『順調か、良かった。今度はゆっくり部屋で待ってて。帰りも送れると思うし。』
「う〜ん……考えとく。」
『なんで?』
「いろいろ?あ、暑いから切るね?」
『まだ外だよな?少し涼んで帰って。喫茶店とかない?」
「うんとね、コンビニがある。倫也さんの好きなチョコアイス買って行くから許してね!!」
ピッ!!
と強制的に通話を終わらせて、コンビニに戻り、アイスを4個を買い溶ける前に帰るのがミッションになった。
帰宅してソファでアイスを一個食べながら、自分に落ち度があったのか、と反芻して考えてみた。
「………ない!どう考えても私の対応が不味かったとして、いきなりの訪問で悪いとしても秘書でしょ?お仕事の邪魔だったにしても、あの人、仕事してた?お茶淹れただけじゃない、仕事。その後はソファに座って聞いてもいない事をペラペラと。内容が会社の事だったらダメじゃない?それに秘書が妻に話す事?………ううん、仕事の邪魔をしたとしても話す事じゃないわよね?」
(何であんな人が秘書なのよ!しかもそんな話聞いてもいないし!!)
プン!!と怒りながらアイスを口入れると、甘い濃厚ミルクの味が広がる。
「んー♪美味しい……怒って食べたら勿体ない。今は忘れようっと。」
一口またアイスを口に入れると、お腹の中でボコボコッと赤ちゃんが動いた。
「いたた……アイス美味しかった?嬉しい?でも少し軽めでお願いしますね?」
動いた辺りを撫でると、手のひらにボコッとした感触が伝わった。
倫也が帰宅して、ニコニコの笑顔でお弁当箱を渡してくれた。
「美味しかった。」
「良かった!お夕飯、食べる?冷蔵庫に入ってる。」
「いいよ、自分で準備する。」
「そう?ありがとう。」
お礼を言いながらお弁当箱を洗い始めると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「倫也さん?どうしたの?」
「んー。宇佐美さんが倫子が部屋で待ってますよーって言うから急いで行ったらいないから……寂しかった。でも座ろうと椅子を引いたらお弁当箱が置いてあって、机の上にメモがあって嬉しかったなって。ありがとう。本当にまってて良かったんだよ?」
水切り籠にお弁当箱を伏せて、クルッと倫也の方を向くと首に手を伸ばしてぶら下がる様に抱き着いた。
倫也も支える様に腰にそっと腕を回した。
「そうしようと思ってたんだけど…お仕事の邪魔かなって…。ごめんね?急に連絡しないで行って。」
「いつでも来て。嬉しい。」
「ありがと。お味噌汁温めるね。倫也さん、おかず温めて。」
オッケーと冷蔵庫を開けた倫也を見ながら、お夕飯タイムは質問タイムだな、と倫子は目論んでいた。
「いただきます!」
嬉しそうな倫也を前に、倫子もお茶とヨーグルトを置いてお付き合いでダイニングテーブルに座っていた。
(さて…何から聞こうかな。)
帰宅してから倫子はネットを検索した。
本にも載っていた、夫が浮気する時、魔が差す時、それは妻の妊娠中が多いと!
それを見て警戒するに越した事はないと考えたのだった。「ねぇ、倫也さん。部屋に入れてもらっちゃったけど、秘書の方がお茶を出してくれたよ。」
「ん、ああ。聞いた。いきなり帰ると言われたって、用事があるからと言ってましたって。」
「ふぅん。」
(そんな事一言も言ってないけどなぁ。)
少し不満な顔が表情に出ていたのだろう。
心配そうに倫也が食べていた箸を止めた。
「倫子?何か言われた?」
「秘書さんに?…言う人なの?」
「いや?」
(ふぅん…。)
「ねぇ、前は居なかったじゃない?秘書さん。びっくりしちゃった。副社長なんだなぁって実感した。いつから?」
「あ、ああ。スケジュールが厳しくなって来てね。変更も多いから社長推薦でお試し期間中だよ。派遣登録だったから正式に社員になってないんだ。秘書検定取ったらしくて丁度いいって話になったらしい。予行練習みたいなものかな。」
食事を開始して倫也は普通に話してくれた。
「お試し期間って、終わったら本採用?決まってるの?それは誰が決めるの?」
「んーそうだなぁ。推薦した社長と俺かな?出来る人なら派遣したいけどね。会社としては。」
「倫也さんの基準が分からないけど、どんな秘書がいいの?」
「そうだなぁ、これっていう基準はないけど、一緒に仕事をする訳だしスケジュール管理だけとはいえ、話しやすい、親しみやすい、疲れない人がいいかな。仕事で疲れて補佐してくれる人で疲れたら倍疲れるから、そこは遠慮したいかな?」
「……へ、へぇ〜。」
「どうした?」
「ううん、あ、お茶入れるね。」
席を立ち、顔が引き攣るのを倫子は隠して笑顔でお茶を運んだ。
片付けを二人でして、倫也がお風呂へ行くと、倫子は先に寝るねと寝室に入った。
(やばい!やばいぞ!!疲れる人、それ私だよね?完全に私だよ!)
頭を抱えてベッドに横座りした。
自分の妊娠初期の頃を思い出すと、家では泣いて怒って、小さな事で浮気を疑ったり責めたりしてた。
(出て行ってとか仕事行っちゃえとか、禿げろとかばかとか…やばい!)
思い出せば出すほど痛い人で、疲れる妻だ。
恐々、スマホを手にもう一度検索をする。
[妻の妊娠中に夫が浮気!]
[これで妊娠中の浮気を発見!]
「と、倫也さんに限って…ねぇ?」
スマホ画面を見つめながら蘇ったのはあの映像。
思い出したのは、心から信頼して大好きだった恋人と永遠の友情を信じた親友との浮気現場だった。
(倫也さんに限って……。)
ーーー「奥様よりは倫也さんに近い分、話は合うみたいです。好きな音楽とか昔見た映画とか、倫也さんは予定を確認した後、数分を私との会話で過ごされて、緊張が取れる、安らぐと言って下さるんですよ。」ーーー
武藤の声が思い出されてベッドに潜り込んだ。
「ううん、あのね、赤ちゃん順調だったよ。その報告のついでに顔を見に行って、久し振りに倫也さんの会社も見たくなって、お弁当は理由が欲しかっただけだから気にしないで。」
『順調か、良かった。今度はゆっくり部屋で待ってて。帰りも送れると思うし。』
「う〜ん……考えとく。」
『なんで?』
「いろいろ?あ、暑いから切るね?」
『まだ外だよな?少し涼んで帰って。喫茶店とかない?」
「うんとね、コンビニがある。倫也さんの好きなチョコアイス買って行くから許してね!!」
ピッ!!
と強制的に通話を終わらせて、コンビニに戻り、アイスを4個を買い溶ける前に帰るのがミッションになった。
帰宅してソファでアイスを一個食べながら、自分に落ち度があったのか、と反芻して考えてみた。
「………ない!どう考えても私の対応が不味かったとして、いきなりの訪問で悪いとしても秘書でしょ?お仕事の邪魔だったにしても、あの人、仕事してた?お茶淹れただけじゃない、仕事。その後はソファに座って聞いてもいない事をペラペラと。内容が会社の事だったらダメじゃない?それに秘書が妻に話す事?………ううん、仕事の邪魔をしたとしても話す事じゃないわよね?」
(何であんな人が秘書なのよ!しかもそんな話聞いてもいないし!!)
プン!!と怒りながらアイスを口入れると、甘い濃厚ミルクの味が広がる。
「んー♪美味しい……怒って食べたら勿体ない。今は忘れようっと。」
一口またアイスを口に入れると、お腹の中でボコボコッと赤ちゃんが動いた。
「いたた……アイス美味しかった?嬉しい?でも少し軽めでお願いしますね?」
動いた辺りを撫でると、手のひらにボコッとした感触が伝わった。
倫也が帰宅して、ニコニコの笑顔でお弁当箱を渡してくれた。
「美味しかった。」
「良かった!お夕飯、食べる?冷蔵庫に入ってる。」
「いいよ、自分で準備する。」
「そう?ありがとう。」
お礼を言いながらお弁当箱を洗い始めると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「倫也さん?どうしたの?」
「んー。宇佐美さんが倫子が部屋で待ってますよーって言うから急いで行ったらいないから……寂しかった。でも座ろうと椅子を引いたらお弁当箱が置いてあって、机の上にメモがあって嬉しかったなって。ありがとう。本当にまってて良かったんだよ?」
水切り籠にお弁当箱を伏せて、クルッと倫也の方を向くと首に手を伸ばしてぶら下がる様に抱き着いた。
倫也も支える様に腰にそっと腕を回した。
「そうしようと思ってたんだけど…お仕事の邪魔かなって…。ごめんね?急に連絡しないで行って。」
「いつでも来て。嬉しい。」
「ありがと。お味噌汁温めるね。倫也さん、おかず温めて。」
オッケーと冷蔵庫を開けた倫也を見ながら、お夕飯タイムは質問タイムだな、と倫子は目論んでいた。
「いただきます!」
嬉しそうな倫也を前に、倫子もお茶とヨーグルトを置いてお付き合いでダイニングテーブルに座っていた。
(さて…何から聞こうかな。)
帰宅してから倫子はネットを検索した。
本にも載っていた、夫が浮気する時、魔が差す時、それは妻の妊娠中が多いと!
それを見て警戒するに越した事はないと考えたのだった。「ねぇ、倫也さん。部屋に入れてもらっちゃったけど、秘書の方がお茶を出してくれたよ。」
「ん、ああ。聞いた。いきなり帰ると言われたって、用事があるからと言ってましたって。」
「ふぅん。」
(そんな事一言も言ってないけどなぁ。)
少し不満な顔が表情に出ていたのだろう。
心配そうに倫也が食べていた箸を止めた。
「倫子?何か言われた?」
「秘書さんに?…言う人なの?」
「いや?」
(ふぅん…。)
「ねぇ、前は居なかったじゃない?秘書さん。びっくりしちゃった。副社長なんだなぁって実感した。いつから?」
「あ、ああ。スケジュールが厳しくなって来てね。変更も多いから社長推薦でお試し期間中だよ。派遣登録だったから正式に社員になってないんだ。秘書検定取ったらしくて丁度いいって話になったらしい。予行練習みたいなものかな。」
食事を開始して倫也は普通に話してくれた。
「お試し期間って、終わったら本採用?決まってるの?それは誰が決めるの?」
「んーそうだなぁ。推薦した社長と俺かな?出来る人なら派遣したいけどね。会社としては。」
「倫也さんの基準が分からないけど、どんな秘書がいいの?」
「そうだなぁ、これっていう基準はないけど、一緒に仕事をする訳だしスケジュール管理だけとはいえ、話しやすい、親しみやすい、疲れない人がいいかな。仕事で疲れて補佐してくれる人で疲れたら倍疲れるから、そこは遠慮したいかな?」
「……へ、へぇ〜。」
「どうした?」
「ううん、あ、お茶入れるね。」
席を立ち、顔が引き攣るのを倫子は隠して笑顔でお茶を運んだ。
片付けを二人でして、倫也がお風呂へ行くと、倫子は先に寝るねと寝室に入った。
(やばい!やばいぞ!!疲れる人、それ私だよね?完全に私だよ!)
頭を抱えてベッドに横座りした。
自分の妊娠初期の頃を思い出すと、家では泣いて怒って、小さな事で浮気を疑ったり責めたりしてた。
(出て行ってとか仕事行っちゃえとか、禿げろとかばかとか…やばい!)
思い出せば出すほど痛い人で、疲れる妻だ。
恐々、スマホを手にもう一度検索をする。
[妻の妊娠中に夫が浮気!]
[これで妊娠中の浮気を発見!]
「と、倫也さんに限って…ねぇ?」
スマホ画面を見つめながら蘇ったのはあの映像。
思い出したのは、心から信頼して大好きだった恋人と永遠の友情を信じた親友との浮気現場だった。
(倫也さんに限って……。)
ーーー「奥様よりは倫也さんに近い分、話は合うみたいです。好きな音楽とか昔見た映画とか、倫也さんは予定を確認した後、数分を私との会話で過ごされて、緊張が取れる、安らぐと言って下さるんですよ。」ーーー
武藤の声が思い出されてベッドに潜り込んだ。
Posted by James Bond at
21:57
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