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Posted by だてBLOG運営事務局 at

2018年03月28日

"「なんて言えばいいの?」 巧はサキカに問いた"

"「なんて言えばいいの?」

巧はサキカに問いた。

「『僕は雨宮 巧です』……って言える?」

サキカはオルス語……中央の国の言葉を教える。

「ぼ、僕ハ雨宮 巧でス……?」
買日本樓風險 言のオルス語だったが、これなら聞き取れるだろう。

サキカは深く頷くと立ち上がった。

そして巧と共にレイト達のもとへと歩み寄る。

「ほら、言って?」

「……僕ハ、雨宮 巧デス」

もごもごと小さな声で言った巧だったが、レイト達にはしっかりと聞き取れたようだ。

「あぁ、宜しくな」

「宜しく、巧」

「…………宜しく」

「宜しくお願いしますっ、巧君!」

「おぅっ!!」

アーク、有舞、リリス、ユリアス、レイトが返事をする。

しかし、ここでまた驚くべき事実がわかった。

「……宜しくお願いします」

ガイアがジパング語を話したのだ。

このことを知っていたサキカ以外の皆は、目を丸くしてガイアを見る。

「お前も話せるのかよっ!」

アークが半分ツッコミのような問いをした。

「ああ……まあな」

ガイアがジパング語を話せるのには勿論理由があるのだが、それはまた後ほど語ることにしよう。

「ってか、サキカってもしかして東の国の人?凄い流暢なんだけど……」

レイトがサキカに問う。

サキカは首を振った。

「違うよ。昔、住んでいたことがあるだけ……」

サキカの困ったような笑いに、レイトはそれ以上追求するのを諦めた。

「さあ、帰るわよ!」

有舞の一声で来た道を歩きはじめる。
















巧は一度だけ、自分が二日間過ごした木の影を振り返った。

親には捨てられてしまった。

だが、優しい笑顔のお兄ちゃんに拾ってもらった。

(……嬉しい)

巧は仄かに笑みを浮かべ、数日間身を隠していた場所にありがとうと告げて、その場を後にした。


."
  


Posted by James Bond at 14:03Comments(0)

2018年03月13日

××××××××××× 帰ってきた有舞

帰ってきた有舞 cosderma 入れ違いでリリスが教室をでる。

「……」

リリスは大きく息を吸い、吐き出した。

そして闘技室のドアを叩く。

コンコンコン

「入ってくれ」

ロードの低い声が帰ってくる。

リリスはドアを開け、闘技室に足を踏み入れた。

正面に仁王立ちしたロードが目に入る。

リリスは振り返ってドアを閉めるといつも被っているフードを外し、頭を垂れた。


「――宜しくお願いします」


フードを外したのは、ロードに対する敬意を示すため――

そう、リリスが獣人と知っていながらも公平に扱ってくれたロードに……。


先生でも差別をせずに獣人を公平に扱ってくれるという者は少ない。

だからこそ少しでも敬意を示したかったのだ。

ロードがそれに気が付いたのかは定かでは無いが、ほんの少しだけ笑んだように見えた。

「さて、テストを始める。魔武器を召喚して構えろ」

リリスは軽く頷く。

「【ローズ】」

左腕に魔導書【ローズ】を喚び出した。

リリスはこの魔導書をサキカから貰って以来、毎日毎日特訓をしてきた。

先生に頼み闘技室を練習のために開けてもらい、【ローズ】の守護精霊であるロゼリーヌに指導をしてもらった。



……小さい頃から弱い自分が嫌だった。

魔力が少ない自分が恨めしかった。

捨て子である自分がクローネ家に拾われたのはもう十年以上昔のこと。

実の親を知らぬリリスはクローネ家でたっぷりと愛情を受けて育った。

愛情をくれた育ての親の二人に恩返しをしたいと思うのは当然のことであった。

しかし力も無ければ頭も良くない自分に何が出来るのか。

……結局、未だに二人に何も返せれていない。

だが、リリスにチャンスが訪れたのだ。強くなるチャンスが。

――ガイアがリリスの封印を解いてくれた。

サキカが魔導書をくれた。

二人が……強くなるチャンスをくれた。

だから、特訓を始めたのだ。


強くなれるなら、

強くなってギルドで働いて、

親孝行をしたい――



その一心で……



."
  


Posted by James Bond at 01:55Comments(0)Travel