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Posted by だてBLOG運営事務局 at

2018年08月13日

紹鴎は、多少頑なっている則正の緊張を解すように、ゆ

紹鴎は、多少頑なっている則正の緊張を解すように、ゆったりとした口調で言葉を繋ぐ。「ところで、則正はん。侘茶屋とは初めて伺う名ですが…。」「はい。実は、まだ創業期でして、暖簾分けされたばかりなかりなのです。」紹鴎は、その返事に納得のいくところがあったらしく、「成る程。そら聞いた事もないはずですわなぁ。」と、ころころと笑い、「では、何故、侘茶屋という名にされたのですか?」「主人の意向です。主人が茶の湯に興味があるとの事ですが、なにぶん暖簾分け前は、下総の片田舎でしたから、溜まりに溜まった茶の湯への欲心が名となって表れたのでしょう。」「ほっほっほ。おもしろそうなご主人ですなぁ。」再び、ころころと笑う紹鴎に向かい、「付き合わされるこちらは、たまったものではありません。」緊張のとれてきた則正が下を向いて頭を掻きながら、アドリブを効かした。その直後、一瞬、紹鴎からの殺気のような冷酷な視線を感じて則正は凍りついた。(ワシは、今、いらん事言うたか?!)背筋を汗が伝わる。気軽な発言を後悔しながら、則正が凍りついていると、「如何なされはりました?」と、再び柔らかな声が落ちてきた。  


Posted by James Bond at 13:13Comments(0)

2018年08月13日

(遂に一人になったか。)多少の寂しさを覚え

(遂に一人になったか。)多少の寂しさを覚えた隆行の右手側に城が見える。(ありゃ、桑名かな。仕事があると良いが。)隆行は、大きな館の周りにある小さな町に向かって歩を進めた。桑名桑名の城下町に入った隆行は、座(問屋)や商家、酒場などを覗いたが、その強面ゆえすべて門前払いされてしまった。気付けば既に夕方である。(参ったな。全額渡すなんて格好付けすぎたな。)既に、晩秋であり、夜の冷え込みが厳しくなる。しかし、宿に泊まる金も無い隆行は、2、3の民家の戸を叩いても、怖がって直ぐに閉められてしまった。隆行は、これまでもこの強面ゆえ、いろいろな場面で人から警戒されてきた。(まぁ、予想通りだけど、こりゃ、駄目だな。ここで小銭を作って行こうと思ったけど、ちょっと予定を変えるか。)隆行は、桑名の町を出て、山々の方へ足を向けた。既に周辺は闇である。幸い月が明るい。月光が照らしだす大地を隆行は一人黙々と歩いていた。途中、休憩を入れ、長島で用意してきた握り飯を腹に放り込むと、いくらか元気が沸いてきた。(下手に夜盗と間違われても厄介だ。)隆行は、村落を避けるように、夜中歩き続けると、朝になった頃、林に入って木の上で寝た。  


Posted by James Bond at 13:12Comments(0)